MY FOOLISH HEART
「MY FOOLISH HEART」のジャズピアノ
お手本動画とコード譜で演奏方法を解説
「MY FOOLISH HEART」ジャズピアノのお手本
演奏:筆者(jpinfo/Midnight Jazz Piano)
「MY FOOLISH HEART」コード譜
|B♭ |G7 |Cm |A7 |
|Dm7 |Gm7 |Cm7 |F7 |
|B♭ |Fm B♭7|E♭ |Am D7 |
|Gm |C7 |Cm7 |F7 |
|B♭ |G7 |Cm |A7 |
|Dm7 |Gm7 |Cm7 |Am D7 |
|Gm7 |E♭mA♭7|B♭ E♭ |Dm G7 |
|Cm7 |F7 |B♭ |B♭ |
作曲
Victor Young
小節数
32小節
筆者の演奏のポイント(一般向け)
「MY FOOLISH HEART」は同名の映画の主題歌として作曲され、現在はジャズの定番曲として親しまれています。
筆者の演奏は、初めの16小節はテンポを一定にせずに、抑揚をつけて弾いています。こうすることで、テーマメロディーであるにもかかわらず、まるでイントロのような構成にできるのです。
反対に17小節目以降は一定のテンポで弾きました。加えて、弾き方にも変化をつけています。イントロが終わり、曲が始まった雰囲気を表現できるのです。テンポと弾き方を一緒に変える手法は、曲の中に変化をつける手段として大変有効です。
このような変化をつけた目的は、25~28小節目のメロディーに向かって盛り上がりを作るためです。音量を大きくし、メロディーラインを豪華な和音と共に弾くことで盛り上がりを演出できます。さらに26小節目では、右手のアルペジオによってメロディーラインを1オクターブ高音域に移しています。それまでにない派手な弾き方を加えることで、1曲の山場を最大限に強調できるのです。
一曲の中に大きな盛り上がりを作りたい場合は、曲の初めは最小限の表現に留め、テンポや弾き方を工夫しながら盛り上がりに向かって演奏の「ギア」を上げていくような構成をつくると良いでしょう。
筆者のアレンジ方法の解説(上級者向け)
前述のとおり、盛り上がりを作ることを意識した演奏となっています。盛り上がりをつくるポイントは「山場の演奏をいかに豪華にするか」ではなく「山場までの演奏をいかに控えめにできるか」です。ここでは控えめな演奏をするための筆者の工夫を解説します。
工夫① 高音域・ホールトーンの活用
筆者の演奏では、1オクターブ高い高音域から始まります。バッキングもそれに合わせて高音域で弾いています。こうすることで、オルゴールが鳴っているかのような控えめな音楽になります。加えて、はっきりとメロディーを聴かせることができるのです。
また、2小節目の「G7」ではホールトーンを活用しています。高音域でのホールトーンは特にその音色の効果が強く、不思議な雰囲気を演出したい時には効果的です。
|B♭ |G7 |Cm |A7 |
実際に右手で使った和音は「B、E♭、G」→「D♭、F、A」→「B、E♭、G」の二種類です。それぞれの和音のトップノート「G」→「A」→「G」がメロディーラインになる仕組みです。
工夫② 裏コードの活用
4小節目の「A7」では裏コードを用いてふわっとした音色を付け足しています。
|B♭ |G7 |Cm |A7 |
実際の演奏では「A7」→「E♭7alt」というコード進行にアレンジしていて次の小節の「D
m」に半音進行の自然な流れで移れます。演奏を抑えたい時や、あいまいさを演出したい時は裏コードへのアレンジを積極的に試してみましょう。
工夫③ ディミニッシュの活用
8小節目の「F7」ではセブンスではなく不安定な「Cdim on F」として演奏しています。解釈の仕方によっては「F7♭9」とも捉えられます。さらに、その音色を長めに伸ばして弾いています。こうすると、不安定な音色を強調できると共に、次にくる明るいコード「B♭」に音色が解決する時の心地よさを強める効果があります。
|Dm7 |Gm7 |Cm7 |F7 |
この工夫はテンポを一定にしないで弾いている時だからこそ使える効果です。抑えた演奏の中にも奥深さを表現できるので、ぜひ試してみてください。
筆者の演奏について
本記事の「MY FOOLISH HEART」の演奏は本ブログ「ジャズピアノペディア」とYouTubeチャンネル「Midnight Jazz Piano」を運営する筆者の演奏です。筆者は、アドリブソロ無しのジャズピアノ演奏でジャズの曲そのものの魅力を伝える活動をしています。多くのジャズピアニストがテーマだけの演奏をアルバムに収めているように、ジャズの曲はテーマだけでも十分魅力的なのです。これらの動画によってジャズを好きになってもらえると嬉しいです。また、演奏の解説がジャズピアノに興味を持つ方々のスキルアップの一助となれば幸いです。
他の曲の記事を見てみたい方は「ジャズスタンダード」をご覧ください。
最後まで「MY FOOLISH HEART」をご覧いただき、ありがとうございました。