NANCY (WITH THE LAUGHING FACE)

「NANCY (WITH THE LAUGHING FACE)」のジャズピアノ

お手本動画とコード譜で演奏方法を解説

「NANCY」ジャズピアノのお手本

演奏:筆者(jpinfo/Midnight Jazz Piano

「NANCY」コード譜

|Fm7   |B♭7   |E♭MA♭ |Gm7C7 |
|Fm7   |Dm7G7 |Cm7F7 |Fm7B♭7|
|Fm7   |B♭7   |E♭MA♭ |Gm7C7 |
|Fm7   |Dm7G7 |Cm7B♭7|E♭ G7 |
|Cm    |CmM7  |Cm7   |Am D7 |
|E♭ Cm |Dm7G7 |Cm7F7 |Fm7B♭7|
|Fm7   |B♭7   |E♭MA♭ |Gm7C7 |
|Fm7   |Dm7G7 |Cm7B♭7|E♭    |

作曲

Van Heusen

小節数

32小節

筆者の演奏のポイント(一般向け)

「NANCY (WITH THE LAUGHING FACE)」はフランクシナトラが制作に関わった曲で、彼の妻と長女の名です。
コードの変化が少なく、とても落ち着いた雰囲気を持つ曲です。コードを付け加えるようなアレンジはほとんどせずに、曲の魅力を活かした演奏をしています。例えば、1小節目の「Fm」ではコードに変化を加えない代わりに、和音を展開して演奏することで間を埋めています。和音を展開させながら弾くと、曲調を変えずにリズムを刻むことができます。テンポを維持しやすくなるメリットもあるのです。
和音の展開を活かした演奏方法は17~19小節目のサビの部分でも活用しています。ジャズの曲は1小節中に2種類のコードを有する曲が多いです。そのような中で「NANCY」のように1小節中にコードが1つしかない部分が多く含まれる曲は、そのコード進行こそが曲の特徴となります。特徴的なコード進行をアレンジしない事が曲の魅力が引き立てるポイントです。

筆者のアレンジ方法の解説(上級者向け)

ここでは、演奏のポイントとなるアレンジを解説します。

ポイント①
6小節目の「G7」では、テンションノートを上手く活用して雰囲気のある濁った音色にしています。

|Fm7   |Dm7G7 |Cm7F7 |Fm7B♭7|

筆者の演奏で実際に用いた和音は「F、A♭、B、E」であり、テンションは「♭9th」「6th」の2種類が含まれることになります。この2種類のテンションを組み合わせたバッキングは「II→V」進行で用いることができるので、様々な曲に応用できます。

ポイント② 
26小節目の「B♭7」では少し変わったバッキングで弾いています。コードの展開ではなく、コード音を半音上げ下げしているのです。

|Fm7   |B♭7   |E♭MA♭ |Gm7C7 |

実際の演奏で用いたコードトーンは「A♭、C、D、G」→「A、D♭、E♭、A♭」→「A♭、C、D、G」となります。コードを解釈するとテンションノートとして「9th」「6th」の2種類を用いて濁った音にしています。それを半音上げ下げするとふわっと宙に浮くような雰囲気が出せるのです。
コード変化がない場合の弾き方として、コード音を展開した和音を弾くだけでは変化に乏しい演奏になってしまいがちです。場合によっては和音を半音ずらす弾き方も試してみましょう。

筆者の演奏について

本記事の「NANCY (WITH THE LAUGHING FACE)」の演奏は本ブログ「ジャズピアノペディア」とYouTubeチャンネル「Midnight Jazz Piano」を運営する筆者の演奏です。筆者は、アドリブソロ無しのジャズピアノ演奏でジャズの曲そのものの魅力を伝える活動をしています。多くのジャズピアニストがテーマだけの演奏をアルバムに収めているように、ジャズの曲はテーマだけでも十分魅力的なのです。これらの動画によってジャズを好きになってもらえると嬉しいです。また、演奏の解説がジャズピアノに興味を持つ方々のスキルアップの一助となれば幸いです。

他の曲の記事を見てみたい方は「ジャズスタンダード」をご覧ください。
最後まで「NANCY (WITH THE LAUGHING FACE)」をご覧いただき、ありがとうございました。

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